2004年12月
オクラホマ州立大学卒業
 
専攻:心理学
 
2005年4月
株式会社ケン・コーポレーション 入社
 
現在、外国部にて賃貸物件仲介担当として活躍
 
 
 
 
私が留学した動機は、身近に兄という留学経験者がいたことと、自分で想像のつかない学生生活を送ってみたいという気持ちからでした。日本の大学に進学した場合、アルバイトやサークル活動などをして過ごしている自分のキャンパスライフが何となく想像できてしまって、それが嫌だったんですね。

 心理学を専攻したのは、以前から人の心の動きや、人間の成長過程における社会環境の影響などに興味があったから。学びのその先、卒業した後に目標とする職業などは、特にありませんでした。

 
 
 
私の卒業した大学は、1年次は寮生活が義務づけられていましたが、留学生活にも馴れた2年次からは、友人とルームシェア、ハウスシェアをしていました。ハウスシェアしていた時には、マレーシア人とパキスタン人と4人で生活。毎日カレーを食べていました!(笑)

 キャンパスライフも含めて、本当にさまざまな価値観の外国人と一緒に過ごしている中で、『こういう考え方をする人もいるんだな』と、自分が納得できる範囲を超えた気持ちになる人と出会うことがありました。例えば、最先端のITの知識やスキルを学びながら、日常に起こるネガティブな事柄を『神の呪い』と結びつけて真剣に信じてしまう人。そんな人と接した時には、心理学を学んでいたこともあって『なぜこういう考え方をするのか』『彼らのバックグラウンドには何があるのか』をいつも考えてしまいましたね。

 また、逆に日本について質問されることも頻繁にあったのですが、答えられない事が多く、いかに自分が母国を知らないかに気づき、日本の歴史や文化について改めて勉強するようになりました。自分を知ること、そして自分には理解できない他人の考え方・価値観について、その背景を理解しようと努力することは同じようにとても大切。多様な価値観・異文化に皮膚感覚で触れられたことは、とても貴重な体験でした。英語力とともに、留学によって獲得できた私の大きな財産として、現在の仕事に大きく役立っています。

 
 
 
就職を意識したのは、大学3年時、留学支援会社主催の合同企業説明会への参加案内を見てから。とてものんびりしていたと思います。日本の就職情報会社のWEBサイトなどをチェックしたり、米国で就職セミナーや合同企業説明会などにも参加してみましたが、ピンと来る会社には出会えないまま、卒業年度を迎えてしまいました。

 大学4年の夏に日本に帰国した際、留学生採用枠のある企業を探し、最初に説明会に参加したのが、ケン・コーポレーション。対応してくださった先輩社員の方の印象がとても良く、何より不動産仲介の仕事は、『純粋な人助けのビジネス』であると気付かせていただき、そこが企業としても職業としても気に入りました。接客するお客様が、普通ではなかなかお会いできないような企業経営者の方など、社会的に成功した方が多いという点にも魅力に感じましたね。

 結局、業界研究や企業研究をしながら応募する企業を絞り込んでいくという、一般的な新卒の就職活動をほとんどしないまま、初めて訪問した企業に就職するという、今から思えばとてもスムーズな就活でした!(笑)

 
 
 
ケン・コーポレーションは、東京の高級不動産流通に特化した不動産会社。私は入社以来、外国部という部署に所属し、今は主に外資系企業のエグゼクティブのお客様を担当させていただくことが多くなっています。

 当社の取り扱う高級賃貸住宅の仲介業務は、ルーティンワーク的な対応だけではなかなか成立しないビジネスです。それは、お客様にトップマネジメント層の方々が多く、クォリティーの高いサービスを熟知しているからです。私が心がけているのは、お客様のライフスタイルを理解し、どのような物件を求めていらっしゃるのか、お客様にとって理想的なのはどのような物件かをしっかりと把握した上で、最適な住宅をお選びいただけるようにご提案することです。

 そのためにまず、お客様のニーズをはっきりさせるために、家族構成、ご家族の趣味、駐車場は必要か、ペットはいるか、今まではどんな住居に住んでいたのかなどの基本的な情報を可能な限りヒアリングするところから仕事は始まります。そこからさらにイメージを膨らませ、決められている予算と合わせて、お客様にとって日本で最適と思える物件を探していきます。

 欧米や、アジア地域でも成功したビジネスマンの方たちにとっては、どうしてもコストパフォーマンスが悪く感じられてしまう日本の住環境。日本社会に対して知識の無いお客様にとって、首都圏の賃貸不動産物件の印象は「高くて狭い」となってしまいがちです。その状態から、日本での生活全般にわたる様々な情報やアドバイスをご提供しながら多くのコミュニケーションを交わし、最終的に私の考えを理解していただいて、納得して喜んでご契約していただけた時に、一番の達成感を感じますね。

 
 
 
「この物件はキレイでステキだけど、ロケーション的に通勤や買い物には不便ですよ」とか、あくまでお客様目線に立って、自分が住むくらいの気持ちでそれぞれの物件をご説明していく。単に物件数を多くお出しして、選んでくださいといった事務的な仕事では、お客様は決して満足しません。しかし、こちらが精一杯の努力で対応すれば感謝の言葉をいただけますし、新しいお客様をご紹介してくださるなど、物事がポジティブに広がっていきます。

 この仕事で何より必要なのはコミュニケーション能力。私の場合は、留学時代の異文化体験が、お客様の育ってきた背景などを考えながらコミュニケーションをとる上で、大きな力になっていると思います。また、留学した当初の私は英語力も無く、言葉が通じないことや未知の生活環境の中で不安を感じていました。エグゼクティブのお客様とその当時の私では、立場や人生経験など大きく異なりますが、それでも心情的に重なる部分も少しはあると思いますし、初めて日本で生活する外国籍の方に、よりよい生活をスタートしていただくためのアドバイスをするこの仕事に、やりがいを感じています。

 
 
 
私の所属する外国部は、不動産会社としては女性が多く、男女比が半々くらい。華やかで和気藹々とした職場です。新入社員でも発言しやすい、とてもフランクな雰囲気で、コミュニケーションがとても活発。入社後は、比較的対応の容易な案件から仕事をスタートさせて徐々に経験を積み、最終的には月額数百万円の賃貸料といった超エグゼクティブ向けの案件を担当するようになります。

 当社は、高級賃貸物件専門の不動産情報データベース『東京レント』を運営するなど物件情報も豊富ですし、実務経験・スキルの高い先輩社員もたくさんいるので、仕事上で分からないことがあってもスグに回りの人間がサポートしてくれるなど、OJTも充実しています。契約本数に応じた報奨金制度の存在や、当社が国内外に保有する高級ホテルの福利厚生活用など、幅広い観点から社員のモチベーション作りに取り組んでいる事も、当社の魅力の一つだと思います。

 
 
 
就職について結果的にスムーズだった私ですが、就活時に自己分析を行った時に少し弱気になった事がありました。特別専攻が就職に有利な訳ではなく、成績が特別良い事もない。それほど特別な経験をした訳でもなければ、英語力がずば抜けているという事もない、と、何か自分のことが中途半端に感じられて・・・。しかし、良く考えてみれば、平凡に思えた自分の経験や能力でも、全体として私の英語力・私の経験・私の学びというバランスは私にしかありえないものですし、かけがえの無い自分の個性・能力というものにもっと自信を持って行こうと考え直して、就活に望みました。

 今、自分の事を平凡で特長の無い人間として感じている読者の皆さんもいらっしゃるかもしれませんが、特別に何かに秀でていることは無くても、能力全体として考えれば「コミュニケーション能力がこれだけ高くて、なおかつ英語力がこれだけ高い人は少ない」といったように、総合的な評価で勝負できるポイントがあるはずです。自分の個性・能力を見直して、自信を持って就活に望んで欲しいと思います。