1998年
オクラホマ州立イースト・セントラル大学 ビジネス学部オフィス・テクノロジー専攻
 
 
 
 
1999年
セントラル・オクラホマ大学 マネージメント・インフォメーション・システム(MIS)専攻
 
 
 
 
2002年
某大手ハードウェア・ベンダー
 
ITコンサルタントを目標に、オラクルDBやJAVA関連のプロジェクトに携わる
 
 
2003年
パソコン教室の講師となる
 
MBA取得にチャレンジするために、軽い気持ちでアルバイトをスタートするも、その才能を見込まれ社員として幅広い業務に関わるようになる
 
 
2005年
日本オラクル株式会社
 
コンサルティングサービス統括本部アプリケーションコンサルティング本部アプリケーションテクノロジーコンサルティング部にて、コンサルタントとして勤務
 
 
 
 
高校時代、大学では西洋史が勉強したいと思っていたんですが、幸か不幸か志望校の受験に失敗しまして。そこで、改めて自分の将来について真剣に考え始めたんです。本当に西洋史を勉強したいのか、卒業後には、どのような仕事がやりたいのか。その結果としてたどり着いたのが、まだ漠然とでしたがIT業界でした。よく考えてみれば、ITはずっと自分の身近にあったんです。小学生の頃から、PCで簡単なブロック崩しゲームなんかを自分でプログラミングして遊んでいました。実は初めて手にしたPCは、父親がファミコンと間違えて買ってきたモノだったんですが・・・。卒業後の仕事まで見据えて考えてみると、大学では将来の仕事につながる勉強をしたいと思うようになりました。ただ、元々文科系の進学を考えていたので日本の大学の理科系入試は負担が大きい。さらに言えば、ITを学ぶなら本場の米国の方が良いのでは、という気持ちもあり、米国留学を決意したんです。

まず考えたのはシリコンバレーでしたが、学費や物価の高さなど、生活のしやすさを考えるとNG。結局、留学支援アドバイザーの推薦などもあり、留学先は米国中部のオクラホマ州の片田舎にある、州立イースト・セントラル大学に決めました。入学したのは、ビジネス学部。そこで学んだのは、オフィス・テクノロジーと言われる、主にオフィスのIT化を推進するための方法論です。ビジネスとITを結びつけることに興味があったので、そのための学びの入り口としては理想的な学部でした。その後、徐々に興味がシステムそのものに向かっていって、1年後に同じオクラホマ州内の州立セントラル・オクラホマ大学という総合大学へ転学し、MIS(マネージメント・インフォメーションシステムズ)を専攻。企業の中でのIT部門の最高責任者、いわゆるCIO(チーフ・インフォメーション・オフィサー)や、ITシステムを導入するコンサルタントを養成する学科です。卒業するまでの3年間、今考えるとそこでITコンサルタントとしての基礎を身につけたような気がします。

 
 
 
最初の大学であるイースト・セントラル大学は、人口1万5千人程度の田舎町にありました。キャンパスには私を含めて日本人は数名程度という環境。大学では寮に入っていて、最初のルームメイトはパキスタン人でした。お互いインターナショナルステューデントということで、英語のコミュニケーションを徐々に身につけていくことができましたね。その後、転学とともにルームメイトは米国人となり、その頃には英語でのコミュニケーションに不便はなくなりました。でもやはりお国柄というか、文化の違いを感じる事は多かったですね。例えば、米国の大学の多くは同様だと思いますが、私の大学でも毎日宿題がたくさん出ました。与えられた課題に対して、自分の性格もあるんですが、120%の仕上がりを目指して毎日しっかり取り組んでいたところ、周りの人間から『何でそんなに頑張るんだ!』と言われることがありました。もっと肩の力を抜け、というようなニュアンスで。実学主義の大学ですし、彼らももちろんそれなりに頑張っているんですが、プライベートも大切にしたいという意識が強いんです。でも私は、ともかく勉強に集中したかったし、集中できていたんだと思います。決して無理をしていたわけではなかったし、学生生活を自分なりにエンジョイしていたんですよ。卒業時にも、既に日本でサン・マイクロシステムズの内定をもらっていると話したら、教授からも驚かれました。卒業と同時にそんな大手の優良企業に入れるのか、という感じで。いくつかのインターンシップを経験してから本格的な求職活動をする人間とか、ITとは全く関係ない仕事にとりあえず短期間就いて、ゆっくりとキャリアを積んでいくという考え方の米国人の友達も多かった気がします。日本式の就職活動は、やはり独特のものなんだなと、改めて思いました。

 
 
 
私の場合、留学支援会社のサポートによる就職セミナーに積極的に参加していたこともあり、とてもスムーズに第一志望の企業から内定をいただくことができました。就職先をIT業界・コンサルタント職に絞っていたので、学びにも明確な方向性を持っていましたし、その学びによって自分がやりたい仕事がさらにはっきりしていったように感じます。ITによってどのようなことができるのか、企業経営にどのようにITを導入するべきか、といったノウハウ・スキルを学び、就職活動時に思ったのは、総合力のある企業で働きたいということでした。IT業界の構造を垂直軸で考えてみると、ベースとしてPC・サーバーなどのハードウェアがあり、そのエンジンとしてのOS、さらにその上で動く各種アプリケーションプログラムがあり、それらを最適な道具としてどのように導入し、使いこなすのかを考え提案するコンサルティングサービスがあります。その全てに精通してこそ、一流のITコンサルタント。従って、その構造の全てを包括している企業で働けば、IT業界のサービス全体を理解できるのではないかと考えて、某大手ハードウェア・ベンダーに入社しました。私が就職活動を行った2001年はITバブルと言われる時代でしたし、当然ベンチャー企業などもいくつか検討したのですが、会社の特長を理解し、将来性や自分の仕事場として良いのかどうかを判断するのが難しかったですね。

 
 
 
最初に入社した大手ハードウェア・ベンダーは、自社開発のワークステーションやサーバーから、OSなどのソフトウェアまで開発している大きな会社ですが、私が入社した当時はベンチャー企業的なカルチャーもたくさん残っていて、例えば自分がやりたい仕事についてしっかりと主張すれば、比較的容易に担当させてもらうことができました。私も入社早々、学生時代にスキルを身につけていた、オラクルDBのチューニングとJAVAに関する社内プロジェクトを任せてもらうことになったんです。大きなやりがいを感じながら、プレッシャーの中で何とかそのプロジェクトを約1年間かけて成功させたんですが、ちょうどその頃、ITバブルがはじけてしまい、組織改革があったり、会社側から提示された育成方針への違和感や個人的にもMBAの取得に魅力を感じたりといくつかの要素が重なり、その会社を退職することにしました。その後、MBA取得のための費用を稼ぐためにパソコン教室の講師に。短期的なアルバイトのつもりがいごごちの良さや期待に応えて社員になり、教室運営にも深く関わることになって当初の予定を大幅に越えて約2年ほど勤務しました。しかし、この時の経験から一般の社会人の方がITに期待することや仕事との関わり方、使われ方などを実感として理解することができ、現在のキャリアにも大いに役立っていると思います。パソコン教室の仕事を続ける中、いよいよ自分の目標とするITコンサルタントへ挑戦しなければという焦りにも似た気持ちが生まれた頃、かつて大学生時代からその製品に触れ、最初の会社の時代に、その製品の先進性や使いやすさに魅力を感じていた日本オラクルへ転職の応募を決意しました。

 
 
 
日本オラクルには、2005年4月に入社。現在はアプリケーションコンサルティング本部という部門に所属し、主に会計や人事、製造といった企業の基幹業務を管理するERPソフトの導入プロジェクトチーム内で、技術コンサルタントとしてキャリアを積んでいます。高校卒業後、IT業界への漠然とした想いから米国留学を決意し、上記のように紆余曲折あって現在に至るのですが、振り返ってみると米国での学びや、その後の日本で関わった仕事の全ての経験が無駄なく今の自分の仕事に活かせるスキルになっているような気がします。大学時代の最後に選択したクラスでは、クラスのメンバーとチームを組んで、実際にITシステムを作りたいと思っている企業経営者などを探しだし、ビジネスの概要から、どのようなシステムを導入したいのか、ITに最も期待する目標・課題は何かをヒアリングし、課題解決のためのシステム提案から実際の設計書の作成まで、実際のITコンサルタントが手がける仕事と同じことを経験したのですが、その一連の流れは基本的に現在の仕事と一緒です。学部にもよるのでしょうが、海外の大学のビジネス系の学部では、概ね日本の大学よりも卒業後の仕事の現場でスグに活かせるような実践的な学びが多いような気がします。目的意識さえしっかり持っていれば、とても多くの専門知識が吸収できますし、それは海外留学の大きな魅力のひとつ。もちろん語学力がつき、世界のトレンドや情報にストレスなく生の英語で接することができるようになることも大きいですね。また米国の大学では、授業中積極的に議論を闘わせ、自己主張し合うことが強く求められます。この点についても、自分のやりたい仕事や改善提案について主張する文化を学んだことが、特に外資系企業などでは、キャリアにもプラスに働くのではないでしょうか。

 
 
 
当面の目標としては、プロジェクトの中での役割を着実に果たしながら、様々な業界、多数の企業の仕事を経験していきたいですね。キャリアを積みながら徐々に責任の範囲が広がり、より大きなプロジェクトの中心メンバーとして関わっていけるようになれば、仕事も一層楽しくなると思います。また、留学を通じて改めて感じたことのひとつに、日本文化の魅力があります。日本の良さをもっと世界中の人に伝えていきたい、日本をもっと元気に盛り上げていきたい、そんな想いを持つようになり、そのために自分にできることを将来的にやれたら良いな、と思っています。

現在、あるいはこれから就職活動をする皆さんにアドバイスしたいことは、ごくオーソドックスにはなりますが、漠然と就職活動を始めるのではなく、何らかの目標・テーマを決めてからスタートすると良い、ということですね。私の場合でしたらIT業界、コンサルタントという業界と職種に関する方針を持っていましたが、同様に志望する業界なり職種なりを明確にして、方針をもって就職活動した方が効率的ですし、チャンスを見逃さないのではないか、と思います。何がやりたいのか、なかなかピンとこない人は、積極的に異文化を吸収することをお薦めしますね。私は旅が好きで、留学中も暇さえあれば旅行に行き、米国内も31州ほど回りました。米国内はとなりの州に行くだけで、モノの考え方や人々の趣味嗜好、法律まで異なります。さまざまな文化に触れる中で、自らの望む将来像や理想も見えてくることがあるのではないでしょうか。頑張ってください。