1996年
Framingham State College入学
 
 
 
 
2000年
一時帰国して就職活動 Framingham State College卒業
 
 
 
 
2001年
帰国して、日本NCR入社
 
 
 
 
2007年
IT企業へ転職
 
 
 
 
 
 
将来よりも今が楽しければいいというスタンスで過ごしていた高校時代。人を楽しませるということに興味があり、当時憧れていた職業はイベントプランナー。今後の進路は、普通に日本の大学へ進み、一般的な大学生と同じように、勉強よりも遊びに時間を費やす日々を過ごすんだろうと思っていました。だけど、ある日、コンピューター関係の仕事をしている父親から「これからコンピューターは絶対必要になる。その業界では外せない英語を海外で勉強をしてこい」と言われたんです。親の言われたように生きるつもりはなかったんですが、高校3年生のときに、たまたま留学を斡旋しているところからパンフレットが来て、読んだらおもしろそうで試験を受けたら受かってしまった。また、高校2年の修学旅行でカナダに2週間ホームステイをしたのですが、異文化に触れることに刺激を感じながらも、英語が話せないせいで意思疎通がはかれないことに歯がゆさも感じたんです。留学することで、あのときの歯がゆさを払拭して異文化の人々と深い交流ができるかもしれないという願望もありましたね。

実際の留学生活は、過大妄想的な部分もたくさんありました。例えば、寮の部屋の雰囲気が牢屋っぽくてゲンナリしたり、広大なアメリカに来たはずなのにキャンパスが驚くほど狭かったり、憧れのキャンパスライフにはほど遠くて(笑)。寮にも大学には、日本、アメリカ以外にインド、中国、韓国、ヨーロッパ系など、いろんな国の人がいました。将来イベントプランナーとして人を楽しませる立場に立つなら、様々な文化や考え方を知っていたほうがいいと思っていたので、彼らと交流をはかれるという点では望みどおりでしたね。

 
 
 
1、2年は英語へのコンプレックスもあり、日本人で固まることが多かった。けれど、3年くらいからはルームメイトのアメリカ人とも政治や人種の話などするようになり、違う文化で育ってきた人の考え方も受け入れることができ、僕も一般論ではなく自分の考えを述べることができるようになっていました。授業にも必ずディスカッションする時間があり、自分も意見を出さないと授業に参加できないんです。意見するためには、自分で企業に話を聞きに行きレポートをまとめるなどの「準備」が必要で、発言には一貫性がないと相手は納得させられないことを学びましたね。そのおかげで、勉強の場面だけでなく何事についても筋道をつけて考える力が身についたと思います。考えて発言する力というのは、就職活動でも社会に出てからも役に立っている。

また、留学中に知り合った仲間は今でも財産。社会人になっても一番会うのが彼ら。仕事や社会について意見を言い合うのがすごく刺激になるんです。それなりの度胸があってアメリカへ渡り、向こうで自信をつけてきた留学生には、上昇志向をもっている人が多い。遊んでいても「俺は将来こうしていきたい」という話がよく出るし、上にも横にも視野を広げてくれる。僕自身は、将来的に2つの展望があるんです。趣味でやってきた音楽やダンスを生かしながらイベント業界での仲間を増やして、仕事とは別のものとして自由にいろんなことを楽しめる環境を作りたいというのが1つ。学生時代は、イベントを企画することを仕事にしたかったんです。でも最近は、周りが結婚ラッシュで、結婚式の2次会など、プライベートなところでイベント企画をするようになり、「利益を考えないからこそ相手のことだけを考えて動ける」、そこが大事だと思うようになったんです。また、もう1つの展望は、会社の中で経営者層に入り込んで自分を高めてみたいということ。自分で起業をしたいとは思いませんが、経営側に立ち、企業や企業で働く人々と社会を楽しませるために何ができるのかということに興味があります。

 
 
 
就職活動は、一時帰国をしている間に行い、アメリカではまったく手をつけていませんでした。なのに、日本で周りの留学生を見るとみんな履歴書がちゃんとできていて自分の進みたい道も分かっている。そのとき初めて「ヤバイ」と思い、2週間で履歴書を作り、職種を営業に決めて活動を開始しました。なぜ営業職かというと、どんな仕事においてもベースになる職種だから。営業をしないと現場は分からないし、現場が分からないとなるとプランニングもできない。営業で人と話して提案するというのは社会で成功するために必ず必要になると思ったんです。

全部で15社くらい受けたんですが、面接で共通して聞かれたのは「なぜ、留学したの?」「留学をして自分がどう変わりましたか?」「留学を経験してよかったこと、つらかったことは?」「日本の学生と違うとこは何だと思いますか?」など。「ホームステイ経験を経て異文化交流をするためにアメリカに渡り、考えて発言するスキルをつけたこと」など、留学生活に関しては答えることができても、日本の学生との違いについては、彼らを知らないので正直に「分かりません」と答えました。また、面接官の中には「成績悪いねぇ」とわざと言う人もいるんです。でも、企業が見ているのは成績じゃなくて、どう切り返すのかだから萎縮しちゃいけない。僕は、学内で行ったファッションショーに参加したことなど、勉学以外で体験し学んできたことをアピールしました。この切り返しは、就職活動に必要な「テクニック」。ほかにも、清潔感のある格好をする、姿勢を正す、声をハキハキ出す、礼儀正しく愛想良くする、就職活動をしている仲間と情報交換なども「テクニック」です。礼儀や服装、髪型のせいで、面接官に「常識がない」「社会性がない」と思われてしまうのはもったいないこと。発言の中身をこだわるのはもちろん、好感のもてる第一印象にもこだわったほうがいい。

 
 
 
就職活動にもうひとつ必要なのが「マインド」。落ちたからといってクヨクヨせずに、前向きな姿勢でいることが大切です。初めての面接では、誰もが何をどうしたらいいのか分からないもの。だけど、何回か繰り返していくうちに自分の中で答えがまとまってくるんです。就職活動の時期は、今までの自分を振り返り、自分の考えを確立して、社会人という次のステップに進むための準備期間。1回ごとに落ち込むんじゃなくて、次につなげるためにはどうしたらいいのかということを考えるようにするべきです。

また、一番最初に選ぶ企業は、教育制度がしっかりしているところに入ったほうがいい。ベンチャーは人として育てるよりも、即戦力を育成するスタンスが強いので、そうなると必然的に大企業がいいですね。まずは、ビジネスマナーや実務的なスキルをしっかり学びながらベースを作るのが先決。自分のやりたいことを始めていくのはその後でもいいんじゃないかな。

 
 
 
留学経験で有利になるのは、英語ではありません。英語を話せる人は世の中にたくさんいて、仕事を選ぶ際に選択肢を広げてくれることはあるかもしれないけれど武器にはならない。それよりも、アメリカで生活してきた1つ1つを自信にしてほしいんです。僕は、最初の会社でPOSシステムの営業をしていましたが、役立ったのは英語よりも、無人レジシステムや百貨店のサービスシステムをアメリカで体験していたことでした。自分が海外で何をしてきて、今後にどうつなげることができるのかを自己分析すれば、あなたなりの留学した価値が見つけられるはずです。

また、大学の名前だけではじかれる日本の学生と違い、留学生には大企業を受けるチャンスが待っています。僕は活動を始めるのが遅かったせいで受けたかった企業の募集も締め切られていました。だけど、ひとつでも多くの企業や業界について知っているほうが就職活動でも社会に出てからでも絶対に有利です。僕の頃とは違い、今はインターネットがあるので、海外からでも外資・内資問わず様々な企業について調べることができ応募もできる。いち早く就職へ向けて動き出してほしいですね。