2000年
東海大学
 
 
 
 
2002年
イギリスへ留学 語学学校(1年間)ファンデーションコース(1年間)
 
 
 
 
2004年
ラフバラ大学
 
 
 
 
2007年
株式会社インターネットイニシアティブ、現在に至る
 
 
 
 
 
 
高校を卒業後、東海大学へ進学しました。客観的に見ると、私の東海大学での2年半は、勉強も大学生活も順調そのものだったと思います。

次第に周りの友人たちの話題にも、卒業後の進路や就職先についての話が持ち上がってきた頃、私は度々考えていた「自分はこのままで良いのか」という問いに、ひとつの答えを出しました。“もう一度、自分を、リセットしてみよう”と。

そのリセットの手段のひとつが「留学」だったんです。留学を決めた私は、東海大学を中退して2002年9月イギリスへと渡りました。じっくり導き出した留学という答えは、本来の自分を見つめ直し、その後の自分をより成長させることができた有意義な選択だったと、改めて確信を持って言うことができます。

イギリスを留学先に選んだ理由は、ヨーロッパは多様な文化体系や言語が入り組み混ざり合っている点で興味深かったから、と至ってシンプルな発想からでした。
まず、イギリスに渡ってからの一年目は、語学学校で英語を学び、さらにもう一年ファンデーションコースを選択し、大学へ入学してから必要とされるレポートのスキルを習得しました。そして、その翌年2004年10月にラフバラ大学へと入学したのです。

 
 
 
留学1年目の語学学校の時なんですが、学校が始った3ヶ月目くらいから、同じ学校の友人とハウス・シェアをすることになりました。メンバーはフランス人、コロンビア人、トルコ人、同い年の日本人と私の、全部で5人でした。元々、フランス人の友達とは学生寮も一緒で部屋も隣同士だったので、最初に仲良くなりました。更に、その学生寮自体が週末に生徒が集まるたまり場のようになっていたので、寮外に住んでいた他のメンバーとも自然に仲良くなっていきました。

実は、早くも3ヶ月目にしてハウス・シェアをすることになったきっかけというのが、私とフランス人の友人が寮を追い出されてしまったからなんです。とてもありがちな展開なのですが、飲酒禁止の寮で、週末に部屋で隠れて酒を飲んでいて、ある日酔っ払ってバカ騒ぎしていたら、寮長に見つかって、翌週追い出されてしまいました。それで、どうしようか…と困っている時に他のメンバーが「それならみんなで家を借りよう!」と言ってくれて、彼らもホームステイ先を出て、一緒に暮らし始めたというのが経緯です。メンバーとは、週末にロンドン観光や、サッカーをして過ごしたり、仲間の故郷を訪ねたりと、本当に仲が良かったです。しかし、僕とトルコ人以外のメンバーは皆、1年限りのイギリス滞在だったので、メンバー解散のような形になってしまい、やはり別れる時は、辛かったです。トルコ人の友人は「ブラザー、ブラザー」と泣きながら連呼していたのを覚えています…。留学一年目にこうした友情関係を築けた私は、相当運が良かったのだと思っています。

素晴らしい出会いがある一方、それでも時として、アジア人というのは、コミュニケーション以前にその“対象外”と考えているひと達と出会うこともあるのです。それはつまり、人種への偏見が存在することを身をもって理解することになった出来事があったからです。

ドイツ人の友人とパブに行った時のことなんですが、店員の方の扱いが、彼と私とで全く違い、私とは目も合わせない程の態度に、非常に憤りを感じました。たまたま、その友人がかなりカッコいい奴ではあったんですけど…。あ、店員さんは女性だったんですけど…。このエピソードだと、それは人種偏見なのか?と言われそうですが、実際イギリス人の子どもから、あからさまに中傷的な言葉をかけられたりしたこともありました。
そんな偏見に対して、最初はいちいち傷付いていましたが、だんだん良い意味でタフになってきて、気にしないようになりました。それと、私はサッカーをしていたので、ごく自然に、スポーツという関係の中で友人を作るきっかけを得ることができたのは、精神的にも大きかったですね。

 
 
 
大学のあるラフバラ市は、イギリスのブリテン島中東部に位置し、ロンドンからは電車で一時間くらいの所で、ロビン・フッドの物語で有名なノッティンガムに車で40分ほどの所でもあります。学内の留学生比率は全学生の10パーセントくらいの規模の大学でした。そこで、私が専攻していたのは「メディア学」です。実際、どんな勉強をしていたかというと、インターネットなどの最新テクノロジーへのアクセス環境に関する、国・地域の社会的格差を、都市別・人種別など様々な角度から分析するというものです。授業でデータ分析するときの基本な視点は“当たり前のことを当たり前とは見ない”、つまり、何についても一度、通常観念を疑うところから始まるんです。この時学んだ、物事を観察するときの視点の立て方は、今でも仕事や生活の中で役立つ場面もあり勉強が活きていると感じられることもあります。

更に、学業を通して私はひとつ、自分の良いところに気が付きました。“自分は全力で努力し結果を残せる人間だ”というところです。事実、留学中は、目の覚めている時間は殆ど全て勉強に集中していましたし、周りのひとたちにも「おまえの勉強量はすごい!」と評価されることもしばしばで、成績も常に上位をキープしていたと思います。私自身はそこで初めて、これは自信を持って良い“自分自身の強み”なんだと気が付きました。つまり、自分自信の努力による「推進力」を自覚できた瞬間でした。

 
 
 
私は日本で就職しようと考えていたので、留学中は海外留学生特化形の就職WEBサイトを中心に日本企業の情報収集をしていました。そのサイトから直接応募には至らなかったんですが、同サイト主催の就職支援セミナーには参加しました。学生10人位でテレビ会議をしてお互いに意見を交換できるもので、面接の時の質疑応答の例や、キャリアフォーラムでの効率的な企業ブースの回り方などのアドバイスを頂きました。それをきっかけに、ロンドンのキャリアフォーラムに参加し、その頃から本格的に就職活動を始めることになりました。

2006年の夏には日本に一時帰国し、東京でのキャリアフォーラムに参加し、その時、現在の会社、株式会社インターネットイニシアティブ(以下、I I J)に出会いました。私は、第一印象からI I Jはとても素晴らしい会社だと感じていました。事実、キャリアフォーラムの面接ブースでお話を伺った時のポジティブな空気感は、今も社内どこに居ても常に感じられます。先輩社員が皆、プライドを持って仕事をしているのだという事が伝わってきますね。採用スケジュールも、とても柔軟に対応して頂けたことも大きく、約2週間で、一次・二次面接を経て、イギリスに戻るまでのかなり短期間で内定まで進みました。私は企業を選ぶ場合、自分の判断を信じているので、良い企業だと思ったら他の可能性と迷ったりはせず、まっすぐアプローチします。結果、私にとって納得できる就職をする事ができました。
内定を頂いてからは、大学を卒業し2007年夏に日本へ帰国しました。当初、日本の学生の方たちの卒業時期に合わせるので、2008年の4月が入社予定となっていました。それまでの間どうしていようかなと実家に戻って考えていたら、ある日、I I Jの人事部の方から「4月まで予定決まっていないなら、来る?」と3月までの契約社員での就業をご提案いただきました。もちろん願っても無い機会なので、即お受けし東京へ出てきました。そして4月になったら、日本の学生の皆さんの入社に合わせて、私も改めて、新人研修を一緒に受けていく予定になっています。

 
 
 
インターネットのプロバイダとして様々なサービスを提供しているI I Jですが、私の仕事させていただいている部署は「SEIL(ザイル)事業部」という部署で、ネットワーク機器を企画・開発しているところです。私の役割はその部署で、カタログの翻訳や、開発者のメッセージが英語表現として適切であるかなどをチェックする業務が主なものです。この、カタログとして世に出す作業には、当然の事ながら、言葉に間違いがあってはならないんです。100パーセント間違いのない英文カタログを作ることができるかと言ったら、私にはその自信はまだ無いので、その意味では“自分の英語は使えない”と思っていて、日々ブラッシュアップを心がけています。

現在、SEIL事業部で仕事をしていることに非常にやりがいを感じています。なので、4月からの配属先はまだ決定していませんが、希望としては今のままSEIL事業部にそのまま配属されたいと願っています。インターネットの業界で生きていく上で、技術的な知識基盤を形成して、それから初めて営業職などにも臨めるのだと考えているからです。現段階ではネットワークに関しての知識は全く素人に等しいですが、ひとつひとつ確実にステップを上っていける自信だけは持っています。この自信こそ、イギリス留学中に手に入れた最大の自分の強みなんです。今は、長期的なキャリア形成を考えたりするよりも、目の前にある事へ猛烈に集中して取り組む方法が、自分には合っていると思っています。ひとつクリアしたら、その次へ、と言った風にです。今後仕事をしていく上で新たな方法は必然的に出てくると思いますが、現在はこれが自分のやり方であり、成功体験を結ぶ方法なんです。

現在、就職活動をされている皆さん、また、自分の方向性を模索中の皆さんへ私からアドバイスできることは、第一に、学生の本分である勉強を精一杯がんばって欲しいということです。文化や友だち作りを満喫することも大事ですが、やはり何をする為に自分は留学しているのかという事を整理して目標に向かうべきだと私は思います。そこで自分なりに得られたことが、その後の仕事をしていく上での自分の働くイメージへと繋がり、自分の置かれるに環境が変わっても力を発揮する基盤となっていくのだと思います。