近年、日本で大きく取り沙汰されている「少子高齢化問題」。
みなさんも聞いたことはありますよね。
年々、お年寄りの数が増えている反面、子供の数が減っているという、あれです。
このまま進行していくと、数年後には人口そのものが減っていくというから、それは大問題。
でも、これって実は日本だけの問題ではないのです。少子化に伴う人口の減少。
多くの先進国が抱えるこの問題の現状を見てみましょう。


出所:総務省統計局「世界の統計2008」



日本の人口は今がピーク!40年後には1億人を割る
 
 
医療をはじめとする様々な産業技術の発展に伴い、世界の人口は長き歴史を持つ人類学上、過去に例を見ないスピードで増加の一途を辿っている。
1980年の約45億人から、この30年の間に約25億人増加。さらに40年後には20億人増え、その数は90億人へ。わずか70年で約2倍に増えると言われている。
 しかし、このような世界の潮流に相反して、人口が減っている国があるというから、さあ大変。そう。その大変な国の筆頭こそ、我が日本なのだ。高齢者が増える一方で、子供の数は年々減少。人口も現在の約1億3千万人をピークに今後は減少していき、40年後の2050年には、ついに1億人を切ると言われている。少子高齢化に伴う人口の減少は、国内市場の縮小や、労働力の減少に伴う経済の衰退、さらには年金問題をはじめとする社会保障の問題など、多くの問題を誘発する引き金として懸念されている。
 そして、この少子高齢化問題。実は日本だけではなく、多くの先進国が抱えている問題だということは、意外と知られていない。特に、ヨーロッパを中心とした先進国では、日本と同レベルで進行中。ドイツは1960年代後半から少子化が進み、ついには日本同様、人口が減り始めているという。ここでは世界の人口、その実態を見てみよう。





日本・中国・アメリカ、人口年齢構成を比較

 
 
 

ビックリ仰天!!未成年者よりも50代の方が多い
 
 
まずは中国とアメリカ、本誌が配布されている2国と比較し、日本の少子高齢化の進行具合を確認しておこう。
 中国・アメリカ・日本の3国で、最も10歳未満の人口の割合が高いのはアメリカ。ついひと昔前までは、少子高齢化の予備国として名前が挙がっていたが、現在は年々出生率が上昇しており、子供の数が増えている。将来的な人口数にも減少傾向は見られず、この3国間においては、一番少子高齢化と縁の無い国であると言える。
 逆に、最も同割合が低いのは、当然日本。全人口に対する10歳未満が占める割合は5%にも達しておらず、これは最も構成比の高い50代と比べ、半数以下の割合。ちなみに、この50代の人数は、10歳未満に10~19歳を加えた、未成年者の人数よりも多いというから驚きである。このままいけば日本は、40年後の2050年には、なんと、総人口の約40%を65歳以上が占めると試算されている。世界平均と比べ倍以上も高齢者の割合が高い国となるのだ。
 世界で最も人口の多い国、中国の現在の人口の年齢構成を見てみると、20~40代、いわゆる働き盛りの年齢層が最も多く、全人口の約3割を占めている。近年の中国の目覚ましい経済成長は、彼らの労働力に支えられていると言っても過言ではないであろう。しかし気になるのは、この層の人口に比べ、10歳未満の人口が少ないこと。数十年後、現在働き盛りの層が歳を取った時、少子高齢化問題に直面することが予想される。2030年をピークに、人口も減少していきそうだ。
 
 
2050年、日本は15歳未満の割合が8.6%しかないのに対し、65歳以上の割合は39.6%。日本国民だけによる経済活動では、圧倒的な労働力不足が懸念される。これを打開するための最善手が、日本のグローバル化である。みなさんの子供や孫の時代も日本が豊かであるためには、海外から日本に「人」や「モノ」「金」が集まる仕組みを作るのは、もはや必須であると言える。






女性1人当たりの平均出産数、世界ワーストランキング

 
 
 

少子化は必然!?
女性の平均出産数2人未満の国がズラリ
 
 
医療技術が発達した現在において、子供の数が減っているその要因は、当然、出生数自体が減っているからにほかならない。人口総数が多い国、上位30ヵ国を中心に、女性一人あたりの生涯の平均出産数(合計特殊出生率)をワースト順にランキング化したのが右表だ。男性と女性の比率が等しければ、人口を保つには、女性一人あたり平均2人の出産数が必要となる。しかし、ワースト20のうち、実に16位までが2人未満を記録しているのだ。
 さすがに平均で1人以下の国はなかったが、1・5人を割る国も多く、傾向として、「一人っ子」がもはや家族構成のグローバルスタンダードとなりつつあるようだ。
 さて、ランキングを見てみると、1位は、日本のお隣の国、韓国。平均1・16人と、限りなく1人に近い数値。ウクライナ、そして第3位に日本と続き、以降上位陣には、ヨーロッパの先進国がズラリと並んでいる。もちろん、このランキングで上位に入ってしまった国は、すでに少子化が大きな問題となっているのは言うまでもないであろう。
 第3位の日本は平均1・26人。日本では10人を越す「大家族」をテーマにしたテレビ番組がよく放送されているが、それは今やかなり希有な存在と言える。兄弟は多くても2人。大半は一人っ子。近い将来、「兄弟喧嘩」や「おさがり」という言葉が聞かれなくなる日が来るかもしれない。
 ちなみに、ランキング外となったアメリカの平均は2・4人。また、人口第2位のインドは3・0人で、このペースで人口を増やし続けると、2030年には中国に代わり、人口第1位の国となる。


[ランキングの対象国]
世界の人口、上位30カ国にギリシャ・カナダ・ベルギー・オランダ・スウェーデン・オーストラリア
を加えた36カ国
 
 
中国・日本・アメリカの3国で、最も結婚時期が遅いのは男女ともに日本。日本の男性は30代前半でも既婚者の割合は約半数。未婚で40歳を迎える人が30%を占める。また、女性も20代で結婚する人は約4割程度しかいない。対して最も結婚が早いのは中国で、女性は20代前半までに約95%が既婚。男性でも30代前半までに9割以上が家族を築いている。







少子化予備国を報告! 少子化危険度ランキング

 
 
 

日本は70年間で
子供の人口が約2000万人減少
 
 
上の表は、1980年の15歳未満の人口を基準とし、2050年までの70年間でどれくらい子供の人口の減少が予想されるか、その度合いを国ごとに数値化(減少率)、ランキング化したものだ。最も減少率が高かった国、それは日本である。
 1980年に約2700万人だった日本の15歳未満の人口は、2050年には約2000万人減の約800万人まで落ち込むことが予想される。減少率72・5%は、全世界で最も高い数値となった。そして、日本とほぼ同レベルで少子化が進んでいるのは、韓国とウクライナの2ヵ国。1980年には、両国ともに15歳未満の人口は1000万人以上だったが、2050年には約400万人まで減ると予測。次いでロシアとイタリア、やはり子供の出生率が低かった国は、軒並み少子化と真剣に向かい合うことになりそうだ。また、元の絶対数が多いため目立たないが、中国もこの70年の間で1億4千万人も、15歳未満の人口の減少が予想されている。
 冒頭で、1980年から2050年の間で世界人口が約2倍に増加するとお伝えしたが、それは子供の増加以上に、世界的な平均寿命の助長に伴った、高齢者の増加が最大の要因となっていたわけだ。15歳未満と65歳以上、同期間の世界人口の推移を比べてみると、前者は1億5千万人の増加に留まっているのに対し、後者は70年間で実に約12億人もの増加が見込まれている。少子高齢化は、近い将来、世界中でさらに大きな問題となりそうだ。