いやいや、そんなことはありません! 確かに中国やインドをはじめ、近年のアジア諸国の経済成長スピードは凄まじいものがあります。しかし、それでもやはり、日本企業が依然アジアの盟主であることには変わりはありません。その証拠に、アジア企業の売上高ランキングの上位企業を見ると、TOP20のうち日本企業の名前が、なんと「13」も入っているのですから。
 そんなわけで、今回はアジアにおける日本企業の立ち位置を再確認するために、アジア企業の売上高TOP20を報告。同ランキングを見て頂ければ、「やっぱり日本やるじゃん!」。そんな感想を持って頂けるはずです。
 
 
 
 
ご覧頂いた通り、アジア企業の売上高ランキングTOP20、その第1位に輝いたのは日本のトヨタ自動車。売上高26兆円以上と、2位以下を大きく引き離してのTOPとなった。さすがは日本が誇る「世界のトヨタ」。その存在感はアジアだけではなく、全世界で見ても別格。トヨタ自動車は、自動車業界部門では世界第1位。さらに、世界中の全企業の中でも世界第5位の売上高を誇る、まさに世界有数の企業なのである。

 さて、さらにランキングを見ていくと、2位と3位には中国の国内三大石油会社のうちの2社がランクイン。ちなみに、3位の中国石油天然気は、石油に換算して37億バレルにも及ぶ確認埋蔵量の資源を保有していると言われ、英『フィナンシャル・タイムズ』が発表した、2008年のFinancial Times Global 500において、米エクソン・モービル社に続く、世界第2位の時価総額を持つ企業に認定されている。しかし、そんな世界有数のオイルメジャーでさえも、トヨタの売上高には遠く届かないのである。世界のトヨタ、その凄さが伝わるのではなかろうか。さらにもう一つ加えると、先に「トヨタ自動車は世界第5位の売上高」とお伝えしたが、同社より上位4社のうちの3社は、エクソン・モービル社をはじめとする世界三大スーパーオイルメジャーである。オイルメジャーを除けば、世界最大の小売企業、米ウォルマート・ストアーズに次いで第2位なのだ。

 さて、ランキングに話を戻すと、4位以降には本田技研工業、日立製作所、日産自動車と日本企業の名前がズラリと並び、TOP20のうちその数は実に13を占める。さらに注目して頂きたいのが、その大半が自動車や電機といった製造業であることだ。「ものづくり大国」日本の名は、まだまだ健在。中国や韓国企業から続々と安価な同種製品が登場してもなお、依然世界ではメイドインジャパン製品の「高品質」が好まれているのである。では、日本が「ものづくり」において長い間世界をリードし続けられる最たる要因はどこにあるのか。結論から言うと、日本製品の高品質は材料や基礎的な部材など、ものづくりの川上部分の優れた製造技術が支えているのである。日本企業が作る部材は、世界中から非常に高い評価を受けている。例えば液晶パネルを使った製品では、最終製品の日本企業のシェアは27%程度にとどまるのに対して、部材のシェアは65%にも及ぶのだという。世界中、特にアジア地域で製造される多くの製品も、元をたどれば多くの場合で日本企業に辿り着く。まさに、これこそが日本の最大の強みなのだ。ものづくりの川上部分に非常な強さを持っているからこそ、長い間「ものづくり」において世界を牽引し続けることができ、また資源を持たない国であるにも関わらず、アジア経済の中心で活躍し続けられるのであろう。

 日本以外の国では、8位に半導体業界で世界第2位の売上高を誇る、韓国のサムスン電子がランクイン。韓国からは他にも、9位にSKホールディングス、12位に現代自動車が入った。また成長著しいインドからは、同国の国営石油会社であるインディアン・オイルが17位に。そして中国(台湾)からは、電子機器の受託生産を行う世界最大のEMS企業、鴻海精密工業が19位にランクインした。

出所:各社ディスクロージャー資料(世界業界マップ2009/ダイヤモンド社より)