『経営者』コンサルタントって何だ?
日本の経営コンサルタントの役割を分解していくと、
それは、経営者をコンサルティングすることになるらしい。
今回は、日本で生まれた、純日本産のコンサル会社、船井総合研究所の手法から、
アメリカとは異なる、日本独特の経営コンサルタントを見ていこう。





 
 
 
 一重に経営コンサルタントと言っても、アメリカと日本ではその性質に大きな違いがある。日本のコンサル業界最大手、株式会社船井総合研究所(以下、船井総研)の平間稔啓氏は、その違いを次のように表現した。
 「アメリカのそれを純然たる『経営コンサルタント』とした場合、日本におけるその役割は『経営者コンサルタント』と言えると思います」
 『経営』ではなく『経営者』コンサルタント? 何とも興味深いフレーズだ。もちろん、アメリカであれ日本であれ、経営改善の相談を受けた企業や団体の経営実態を調査・診断し、改善方法を提案するという、経営コンサルタントの抜本的な業務に変わりはない。先の言葉の本質は、両国の株式未公開企業の在り方を比べてみることで、紐解くことができた。
 起業家への投資活動が盛んなアメリカでは、株式未公開企業であっても、多くの経営者が投資家からの出資金で会社を経営している。経営者は当然ながら、投資家たちから結果(株式上場)を出すことを強く求められるわけだが、その代わり、事業失敗に伴うリスクをさほど背負わなくて済む。事業に失敗したことにより、人生のやり直しがきかなくなる心配は、よほどのことがない限り無用であろう。このような背景において、アメリカの経営コンサルタントに求められる役割は次のようになる。
 「アメリカでは株式未公開企業であっても、多くの場合、会社の“所有者である株主(投資家)”と、“会社を運営する経営者”の役割が明確にわかれています。運営を任された経営者は、どう経営すれば株主に最大限の利益を生み出せるのか、極端な話、それだけを考えれば良いのです。そのため経営コンサルタントには、その企業が最も効率的かつ最大利益を生む方法を提案することが求められます。実行できるか否かはさほど問題ではなく、その企業がどう在るべきか、正論を論理的にまとめ、経営者に理解させることが重要となるのです。やれるだけのことをやって倒産してしまったのなら仕方がない。リスクが少ないアメリカの経営者は、良い意味で、結果を恐れず利益追求が可能なのです」(平間氏)


■ アメリカと日本の経営コンサルタントの理想像の違い
 
 
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