天野 雅晴
株式会社グローバルビジョンテクノロジー
会長



天野 雅晴
Masaharu Amano


1979渡米。修士号取得と米ハイテク企業勤務の後、90年にグローバルビジョンテクノロジーをシリコンバレーに設立。03年に同日本法人を東京に設立し、両者代表として今日に至る。 著書に「Califomia Winds」(成美堂)など。

第1回
日本人ビジネスマンの多くが戸惑いを感じる、アメリカ人とのコミュニケーション。
なぜ彼らは、時に対抗的とさえ思えるほど自己主張をするのだろうか?
そこには深意も悪気もない。彼らの主張は、実は意思疎通のためのプロトコルなのだ。
 

 
アメリカ人は自己主張が強すぎると感じる人は少なくないのでは?

 私自身、アメリカに来てしばらくの間はよくそう思ったものだ。常に自分の意見や好き嫌いをはっきい言うのはもちろん、気の合う仲間と食事に行ったときですら、おのおのの好きな銘柄のビールやワインを注文して、「あなたがそれなら私はこれ」と言わんばかり。対抗的とさえ思えた。

 しかし、しばらくすると、このような自己主張にも効用があることに気づいた。

 アメリカはもともと違う人種や文化の寄せ集め。共通ベースがないので、相手がどう思うか勝手に推測するのは危険である。

 しかしそうかと言って、同じ社会で共存するには、お互いの考え方や望むもの、好きなものや嫌いなものなどを、ある程度理解しておかないとトラブルのもとだ。

 コウモリは自ら超音波を出し、その反射を感じることで、暗い夜でも障害物を避けて飛び回ることができるという。アメリカ人の自己主張も喩えて言えば、この超音波信号のような役割を持っているのかもしれない。

 つまり、自分の主張を相手にぶつけて反応を見ることで、相手の考えや立ち位置などを確認できる。それ以上の深意も悪気もなく、相手もそれがわかっているからやり返す。意思の疎通をするための、一種のプロトコルのようなものだ。

 常識となる「共通基盤」がほとんどない中、必要に迫られての手段なのであろう。

 そして、主張はするが相手の主張もきちんと聞き、そのせめぎ合いの中で事態を正しく判断し、お互いにとってより価値のあるフェアな結論を導き出そうとする。

 ビジネスの交渉でもこのスタイルは変わらず、まずは強い態度で相手を試そうとするが、実は、当然の反論が相手から返ってくることを半ば期待して待っている。

このような「プロトコル」を理解しない日本人は、ただ呆れて黙ってしまい、交渉にすらならないケースもあるようだ。



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