天野 雅晴
株式会社グローバルビジョンテクノロジー
会長



天野 雅晴
Masaharu Amano


1979渡米。修士号取得と米ハイテク企業勤務の後、90年にグローバルビジョンテクノロジーをシリコンバレーに設立。03年に同日本法人を東京に設立し、両者代表として今日に至る。 著書に「Califomia Winds」(成美堂)など。

第5回
日本にはモノづくりの能力の高さがありますが、近年、グローバル市場が急拡大する中で、日本式の「クローズな商品開発」では採算が合わなくなってきたという現状があります。
 

 
 「オープンイノベーション」という言葉がある。まだあまり知られていないが、日本企業にとって、大きな課題を含む言葉だ。

 「イノベーション」とは、今までなかった新しいアイデアで何かを改善したり、新しい技術や商品を生み出したりすること。
 
 これまでは一企業やグループ内でクローズに行われることが一般的だった。

 しかし、最近、特にアメリカを中心に、敢えてオープンな形で「イノベーション」を行うという考え方が浸透し始めている。

 その背景にあるのは開発コストと商品サイクル(商品寿命)の問題だ。

 商品やサービスの機能や質は、技術の進歩とともに常に進化する。これはパソコンや携帯電話を見れば明らかだろう。

 医療や製薬業界でも同じ。身近な生活用品や映画産業でも、同様なことが言える。

 機能が増えれば部品も増える。質を上げるにはコストも掛かる。しかし、以前は良いモノを作れば高く売れ、商品寿命も長かったから、採算は十分に取れた。

 ところが、ビジネスのグローバル化で価格競争は激化した。開発や商品化の時間も短縮され、商品寿命はむしろ短くなった。

 当然のことながら、これまでのやり方では、採算が合わなくなって来たのだ。

 それでも、常に買い手はより良いモノをより安く求める。そして、さらに新しい機能やサービスを追求する。

 結局のところ、分業や協力(クロス・ライセンスなど)でこの難問を乗り越える「オープンイノベーション」という手法が、あらゆる業界でほぼ同時に自然発生した。

 一方、日本はずっと切り離された環境で、クローズな「イノベーション」を行って成功して来た国。高い協調性と管理が行き届く社内やグループ企業や下請けという縦社会構造で、ぬくぬくとやることができた。

 今後は日本も、「オープン化」を進めざるを得なくなる。言葉や文化の壁を越えた「多様化社会のイノベーション」に、うまく切り替えることはできるだろうか?



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