文化の違いが生む日米ビジネストラブル
天野 雅晴
株式会社グローバルビジョンテクノロジー
会長



天野 雅晴
Masaharu Amano


1979渡米。修士号取得と米ハイテク企業勤務の後、90年にグローバルビジョンテクノロジーをシリコンバレーに設立。03年に同日本法人を東京に設立し、両者代表として今日に至る。 著書に「Califomia Winds」(成美堂)など。

第2回
アメリカで北京オリンピックが盛り上がりに欠けた理由

先日閉幕した北京オリンピック。国全体がオリンピック一色となった日本とは異なり、アメリカ国内では、いまいち盛り上がりに欠けていた。
一体、両国のこの違いはどこから来るのだろうか?
その答えは「多様化社会」というキーワードに隠されている。
 

 

今回の北京オリンピックは、ちょうど八月十日の週に日本に出張があり、前半をアメリカで、後半を日本で見ることになった。

 私自身にとっては、オリンピックはとても大きな関心事だが、実は、アメリカ全体では、いまいち盛り上がりに欠ける。テレビ放送はNBC系ネットワークの独占のため、オリンピック中継はごく一部に限られる。他局においては、トークショーやニュース番組でさえ、オリンピックの話題はごく僅か。ひとつのニュースネタとして取り上げられるだけだ。ちなみに、知り合いのアメリカ人にオリンピックを見ているか聞いてみたが、見ているという人もいれば、あまり見てないという人もいた。

 これに比べ、日本では、各局とも朝八時台のワイドショーから、オリンピックの話題で持ち切りだ。活躍した選手の家族の取材や、子供の頃のエピソードなども含めて盛り上げ、視聴者もそれを見て感動する。

 オリンピック中継も、いくつかのメイン競技を各チャネルで分け合うように時間帯をうまくずらして放送するので、まさに日本全体がオリンピック一色になる。

 この違いはどこから来るのか?

 アメリカは、もともと色々なルーツや文化や考え方の違う人たちの寄せ集め社会。「多様化社会」と私は呼んでいるが、このような社会では、社会全体が一つになるような「共通基盤」がない。もちろん、共通の趣味や関心事で括られるグループはたくさんあるが、社会とか国全体で括ることは難しく、また、無理にそうする必然性もない。無論、メディアも無理押しはしない。

 その点、国全体が一つになれる日本は素晴らしいと思うが、一方、実は社会の「多様化」は日本でも進んでいる。外国人が増えただけではなく、考え方やライフスタイルの多様化も進んでいるのだ。

 これからは個人の主体性が問われる時代。容赦ないメディア攻勢で否応無しに引き込まれる日本を見ると、平和でもあり、大丈夫かなぁという気にもなるのである。



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